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遺言者と受遺者が同時に死亡した場合どうなるのか?

2012年3月16日
佐々木 英 司法書士

先日、相続と遺言についてある人とお話ししていたところ、
次のような質問が出ました。

「遺言した人とその遺言で財産を譲り受ける予定となっていた人が
同一事故に遭遇して亡くなってしまった場合どうなるのか?」

今回はその質問について考えてみたいと思います。


具体的に次のような事案を想定してみましょう。

A = B

C = D

Cの両親がAとBで
DはCの妻です。

AとCが同一の自動車事故に遭遇し、
AとCは一瞬のうち、その場で死亡してしまいました。

●問題1 同時死亡の場合の相続関係について

まず、推定相続人間においてそれらの者が同時に死亡し、
それらの者の死亡の先後関係が解らない場合は
どのような相続関係になるのでしょうか?

この点について
民法32条の2では、次のように定めています。

【民法32条の2】
数人の者が死亡した場合において、
そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、
これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

また、相続のルールとして

相続することができるのは
相続開始の時にその相続人が存在していることが要件となっています。

よって、
1 民法32条の2の条文
2 相続のルール
を組み合わせると、

1 まず、民法32条の2の条文によって、
ACは同時に死亡したと推定されます。

2 ということはどういうことかというと
Aが死亡したときにはすでにCは死亡しており
逆にCが死亡したときには、すでにAも死亡している
ということになります。

3 したがって、
CはAの相続人ではないし、
AもCの相続人ではない
ということになります。

ちなみに、
AとCが同時に病院に運ばれて、
Aが死亡した5分後にCが死亡したことが明らかだったとします。
その場合は、Aの財産をBとCがそれぞれ相続し、
その後Cの相続が発生することによって、
(Aの財産の一部を相続した)Cの財産がDに移転します。

つまり、妻、Dにとっては
AとCの死亡時期が不明か、
はっきりとCの死亡がほうが遅いと判明しているかでは
Aの財産の一部を取得できるかどうか、
大きなちがいがあるのですね!


●問題 2 受遺者と遺贈者の死亡の先後と遺言の効力の問題

次に問題となるのが、
遺言者の死亡前に
受遺者(その遺言で財産を受けることになっている名宛て人)が
死亡していた場合どうなるのか
という点です。

遺贈は、
遺言者が死亡した時点で受遺者が生存していなければならない
とされてます(同時存在の原則)。
よって、遺言を残した相手方が遺言者より先に死亡した場合には
その受遺者への遺言はその限りにおいて無効となります。


●結論 本件のケースにそれぞれの問題の結論を当てはめてみます。

最初の例で、
AはCに対して自己の財産を遺贈する旨の遺言をしていたのですが
AとCが同一の交通事故に遭ってしまいました。
どちらが先に死亡したかが判明しない場合、
AとCの間で同時死亡の推定が働きます。
その結果、
Aが死亡した時点でCが生存していなかったということになると
上記の遺言内容はCとの関係では無効となり、
Cに遺贈されるはずだったAの財産は
(AがCがAよりも先に死亡したときのことを想定した遺言内容を
規定していない限り、)法定相続されるということになります。

以上で
遺言者と受遺者が同一事故で死亡した場合の
相続と遺言の関係についての考察を終えます。

司法書士

佐々木 英Ei Sasaki

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